
大正時代に世界中を席巻したインフルエンザ。
今のコロナウイルスの対処に100年前の事例から学べることは・・・
流行性感冒は今や全国を風靡し二十四日までに内務省に達した患者数は実に七十八万人に達し死亡者は二万一千を数うるに至った。
神戸大学経済経営研究所「新聞記事文庫」
とは時事新報 1920.1.27 (大正9)の新聞記事である。
医療崩壊が起こっていた?
二十六日から本所と大久保の両病院を解放するとのことであるが、是とて施療と実費の区別をつけている位だ、収容能力と云っても僅々五百に過ぎぬとは情ないではないか
警視庁では予防宣伝か何かでお茶を濁しているが、医学士会の無料注射や済生会診療班の微々たる活動に安心して庁費を以て強制的に施行しようともしない、注射に於て然り、今の処では患者の隔離、患家の消毒などは夢想だにし得ない状態だ、それに市内の各病院は流感患者の入院を拒絶しているではないか、政府は無責任、医師は不足、看護婦は払底、加うるに病院には入れず病毒は伝播に委せてあるではないか、市民は宛地獄に棲んでいると同様だ、我々は常に唱道しているが、医薬の国営は鉄道の国営以上に大切な事だ、
神戸大学経済経営研究所「新聞記事文庫」
死者数2万に対して、病床わずかに500。
すでにこのとき、医療は崩壊していたのではないか。
(治療法があったわけではないが・・・)
100年前と同じ愚を犯さないように、
地獄という表現が恐ろしい。